今回はちょっと頭を使います。(ゴメンネ)
そう、レーザー脱毛をした事がある人なら必ず耳にするJ(ジュール)について説明します。
やみくもにジュールを上げて効果を高めたいという患者さんは多いのですが、なんでもやりすぎは肌によくないです。
脱毛の目的は人によりますが、多くの人は見た目を良くするために脱毛を選んだはずで、肌をバッキバキに痛めてまで脱毛をしては本末転倒ですよね。
それでは解説していきます。
ジュールとは、レーザーの強さで使われる単位
ああ、高校の物理でなんだか聞いた気がするなぁ。。
そう、そのジュールです。
脱毛の世界ではレーザーの強さを表すのにジュールという単位を用いています。
当然、ジュールの値が高い方が強いレーザーで、値が低いと弱くなります。
ただし、「強ければ良い」というわけではないのがちょっとややこしいところなのですが、その前にレーザーをあてて毛が生えてこなくなる仕組みを理解する必要があります。
レーザーが直接毛根を破壊するわけではない
レーザー光はメラニン色素に反応し作用します。
レーザーの熱エネルギーがメラニンに反応して、そのメラニンを通して毛根に到達し、破壊します。
まずここで、メラニンとは何か?というと、
メラニンとは、肌・毛・瞳の色の黒い部分(色素)のこと。
つまり、レーザー→毛→毛根という流れをイメージしてください。
レーザーとメラニンの関係について詳しくはこちらの記事で既に説明しているので、参考にしてください。
毛の一生=毛周期(ヘアサイクル)からわかるレーザーが効く毛と効かない毛
毛のメラニンにレーザー光が吸収され、その熱により毛根(詳しくいうと毛母細胞や毛乳頭)が破壊され、毛が生えてこなる。
レーザーが直接、毛根をビリッと焼き切るようなイメージを持たれている人がとても多いのですが、違います。
よく、クリニックへ向かう前に「施術前には脱毛する部分の毛は剃ってから来院してください」
と言われたこと、ありませんか?
それは、肌からでている部分の毛の方にエネルギーが無駄に放出するのを防ぐため、というのが理由です。
少しでも効果的にレーザーをあてるために、剃れる毛は剃ってから来院しましょう。
上の図はレーザー前に毛を剃るのがどのようにプラスに働くかを表しています。
肌の表面に露出している毛があると、レーザーのエネルギーは肌表面部分の毛から放出されていまうので、毛乳頭へ届いて欲しかったエネルギーが無駄になってしまいます。
ですので、毛乳頭へ確実にエネルギーが届くように毛を剃る必要があるわけです。
まずはしっかりこのおさえておいてください。
強すぎるレーザーは肌ダメージ大
ここまで読んで感の良い人は疑問に思うでしょう。
”肌の黒さもメラニンなら、肌はどうなの?”
という疑問です。
その通りです笑
レーザー脱毛をやる場合、日焼けした肌はアウトです。
肌の黒さもメラニンなので、強すぎるレーザーを当てると毛はおろか肌にもダメージが残ります。
ですので、レーザー脱毛したい人はなるべく日焼けを避ける必要があります。
それでも、家の中にいたって多少は肌は紫外線を浴びていますし、完全に真っ白肌の日本人というのは存在しません。
もともと色黒の人だって大勢います。
それでは、肌にも毛にもあるメラニンのうち、いかに毛に効率よく熱を吸収させ、かつ肌への影響を抑えていくのか?
自分にあったジュールはどのように決めればよいのか?
低ジュールから高ジュールへ徐々に上げていくのが◎
より脱毛効果を高めたいからといって、いたずらにジュールを上げるのは得策ではありません。
なぜなら肌をやけどしまくってボロボロになりながら、耐えがたい痛みを受けて途中で脱毛を諦めてしまっては元も子もないからです。
そして自分の肌に合ったジュールを設定してもらい、続けられる程度の痛みでレーザーをあて、徐々に高めていったほうが、キレイに脱毛ができるというものです。
保湿の重要性
レーザー脱毛において、痛みを軽減させるにはまず保湿第一です。
乾燥肌というのはとてもやっかいで、同じジュール設定であっても肌の保湿具合によっては天と地ほどの差がでます。
保湿を侮ってはいけません。
レーザー脱毛施術前の数日前から(できれば毎日)脱毛部位にはしっかりと保湿クリームを塗ってあげてください。
麻酔クリームの活用
クリニックではレーザーの痛みを緩和するために麻酔クリームを用意している所が多いです。
クリーム塗布後しばらくすると肌の感覚が鈍るため、高出力レーザーに耐えられます。
あまりにも痛みに耐えられない場合はクリームを使う必要がありますが、先ほども言った通り保湿第一ですので、あくまで予備の手段だと思ってください。
まとめ
はじめは低ジュールからレーザーをあてていって、慣れたら高ジュールというのがレーザー脱毛の王道になります。
結局、この方法が自分の肌に合わせたあなただけの脱毛パターンになっていくわけです。
やみくもに高ジュールにこだわっても続かなかったり、ひどい乾燥肌に悩まされるよりマシだと信じて、保湿を怠らないようにしてもらえたらと思います。
番外編 ジュールとパルス幅の関係
ここから先はとても専門的過ぎて読んでもあまり患者として利益になることはないので、よほど興味のある人だけ読んでください。
レーザー脱毛の効果はジュールだけで語れない一番の理由はパルス幅というものが関係しています。パルス幅とはレーザー光の照射時間をいいます。
パルス幅の設定はどれが適切かという企業秘密があるため、ここでは公開できません。
このパルス幅を理解するため熱緩和時間について触れます。
熱緩和時間とは、瞬間的に熱が加わった時に熱が最高温度に達してから熱温度が半減するまでの時間のことをいいます。
皮膚(表皮)の熱緩和時間は3~10msec(ミリセカンド)と言われています。
(1ミリ秒=100分の1秒)
一方、毛の熱緩和時間は40~100msecです。
表にまとめてわかりやすく言い換えるとこうなります。
部位 | 熱緩和時間 | 特徴 |
肌 | 3~10msec. | 放熱しやすい |
毛 | 40~100msec. | 熱を溜めやすい |
例えば、パルス幅を1msなんて設定をした場合、毛はおろか皮膚にも大ダメージを与えることになります。
一方、100msにすると、脱毛効果はほとんどなくなってしまいます。
よって、肌へのダメージを最小限に抑え、かつ毛に対して効果的なパルス幅設定は3msから40msにすればよい、ということになります。
この範囲のパルス幅で設定して、あとは患者さんの保湿度合と痛み加減でジュールを調整していけばよい。
ということになります。
このパルス幅とジュールの関係は施術者の経験則と、患者さんとのコミュニケーションで決まるものなので、一概に〇ジュールでパルス幅〇msが一番よい。
ということはあり得ません。