脱毛の契約を結ぶ時に同意書というものにサインします。

病院に入院したことのある方であればご存じの人もいるでしょう。

医療機関が何か施術をする際にリスク説明や施術内容について、あらかじめ患者さんと合意しましたよという証拠の文書を同意書と言います。

これが、あまり理解していないままサインする人、けっこう多いです。

とてももったいないなぁ、と思います。

なぜなら同意書の内容をきちんと理解するかしないかで、施術後の結果に対する満足感が違ってくるからです。

たしかに同意書には医療脱毛特有の言い回しがあるため、わかりにくいと思います。

ここでは、そんな同意書を完全に理解するためのポイントを解説していきます。

医療脱毛を契約するときの同意書(サンプル)

まず、よくある医療脱毛の同意書とはどのようなものか見ていきましょう。

例えば、このような同意書があったとします。なんとな~く

( ´_ゝ`)フーン

と読んでみてください。

医療レーザー同意書

当院ではジェントルレーズ(シネロンキャンデラ製)を使用します。

レーザー脱毛とは、毛のメラニンにレーザーが反応し成長期の毛根周囲に熱変成を起こし毛を生えにくくします。

毛には毛周期があり脱毛では毛周期の成長期にあたる毛にのみ脱毛(減毛)効果がみられます。

効果

1回の施術で20%程度の効果があります。平均的には6~9回で脱毛効果が得られますが、部位や毛質により個人差があります。

照射前の注意

・毛抜きを使用した脱毛は行わないようにして下さい。

・日焼けしている場合でやその皮膚の状態によっては施術が行えない場合があります。

・毛は毛周期により一定のサイクルによって生え変わります。照射間隔は1か月半~2か月位を目安にして下さい。

照射時の注意

・ゴーグルを装着していただきます。その状態で目を閉じていてもレーザーの光の明るさがわかると思いますが視力には影響ありませんのでご安心ください。

・熱感、ゴムで弾かれたような痛みがあります。

照射後の注意

照射部位が赤くプツプツと腫れる場合があります。当院では軟膏を処方しますが1週間経ってもその症状がある場合は、当院にお知らせください。

・一時的にかゆみが出る場合があります。保湿ケアを行い、入浴、サウナ、飲酒、運動はお控えください。

毛包(嚢)炎・・・毛穴に炎症が生じる場合があり、その際は軟膏を処方致します。

軽度熱症・・・脱毛は毛のメラニンをターゲットにしていますが、肌のメラニン量によっては軽度熱症が生じる場合があります。その際は軟膏を処方致します。

硬毛化・・・まれに産毛のような細い毛にレーザーが照射される事で毛が太くなってしまう現象が起こることがあります。顔や二の腕、背中などによく見られます。

禁忌・・・日焼け、アートメイク、刺青部位、ほくろ部位、日光過敏症、ケロイド体質、妊娠、授乳中、ヘルペス等の感染症、皮膚病変

  東京脱毛塾クリニック 院長 殿

  私は上記内容を理解し施術をうける事に同意いたします。

                     2022年〇月△日   氏名  〇〇 〇〇

どうですか?専門用語もありわからないところが少なからずありますよね。

「注意」ってなに?

硬毛化ってなに?

脱毛に来たのに”減毛”ってどゆこと!?

とかとかです。同意書では下線を引いているところがポイントです。

ここからは、ポイントごとに順を追って一つずつみていきましょう。

ポイント①脱毛機の種類をおさえよう

まず第一に、これから自分が受けようとしている脱毛機は何なのかを知る事が重要です。

同意書では「当院ではジェントルレーズ(シネロンキャンデラ製)を使用します。」と書いてありましたね。

ほとんどの人はいろいろなクリニックの情報を調べて「ここだ!」と決めたところに通う人が最近は多いのですが、脱毛機が複数おいてあるクリニックに行く場合、自分に使われる機種は何かというのは同意書を結ぶ段階で初めて分かることが多いです。

脱毛機を患者側で選べるというのは勘違いで、複数機種を設置しているクリニックではどの脱毛機を用いるかはクリニックが決めるところもあります。

同意書では脱毛機について明記することが必須というわけではないので、同意書に記載が無い場合は直接確認する必要があります。

ポイント②1回のレーザーで永久脱毛はありえない事を理解しよう

次は、「1回の施術で20%程度の効果があります。」について

20%という数字を見て、案外少ないと思った方が多いのではないでしょうか。

中には1回クリニックに行けば永久脱毛できるという患者さんもいるくらいです。

でも実際はそんな簡単に脱毛できないのですよ。。

毛には、毛が生える周期(ヘアサイクル)というものがあります。

レーザー脱毛は成長期と呼ばれるヘアサイクルの毛のみに有効で、初めてレーザーを当てた後の実感具合はそんなに感じない事もあります。成長期の毛というのは毛全体の割合でもそんなに多くないため、どうしても一回の施術だけでは全ての毛を脱毛することはできません。

仮に同意書の説明を受けてる際に「1回の脱毛で40%以上効果がある」なんて記載があったらかなり誇張しているな、と思って良いでしょう。

ポイント③効果的ゆえのデメリット?施術直後は肌は荒れると心得よ

照射部位が赤くプツプツと腫れる場合があります。

これはレーザー脱毛後によくみられる症状で、レーザーの高熱により肌が荒れることがあります。

何の処置をしなくても自然消失しますが、数十分経ってから出てきたりもするので、通っているクリニックで予め軟膏を処方してもらえるか確認しておきましょう。

ポイント④自分でできる肌ケアはとことん追求しよう

入浴、サウナ、飲酒、運動はお控えください。

え?なんで?

と思ったのではないでしょうか。

”赤いプツプツ”とも関係する話なのですが、レーザーを当てると肌が荒れますよね。

赤いプツプツが出ている状態では、これらの血行を促進する行為は赤みを増強するため、控えましょうという意味です。

ポイント⑤男性でも保湿はマスト!毛包炎について知ろう

毛包(嚢)炎

もうほう(のう)えんと読みます。

毛包とは毛穴の奥の毛根を包んでいる部分です。

通常の皮膚には常に色々な菌(常在菌)が存在しますが、肌のバリア機能によりその菌に感染することはありません。

しかしレーザーの熱により皮膚の水分量が奪われてしまう事で乾燥するため、ブドウ球菌などの常在菌が毛穴に入ってしまい毛包炎ができてしまいます。その場合は軟膏の塗布が有効です。

ちなみに皮膚のバリア機能はカミソリの使用後にも低下しやすくなるため、剃毛するといつも赤くひりひりする人はレーザー照射時も同様の症状が起きやすいと考えられるので、施術前に保湿のための準備をしておいたほうがよいでしょう。

ポイント⑥脱毛に来たのに濃くなる?硬毛化について知ろう

硬毛化

こうもうかと読みます。

これは脱毛前に比べ照射後に毛が太くなる現象です。

1998年にスペインで硬毛化の論文が発表されました。発症頻度は1%と言われています。そしてその原因は未だ解明されていません。

よって剣持の持論ですが、毛穴の数は遺伝子によって決められているので硬毛化については単に毛が増えたのでは?という解釈は否定できます。私がまだ脱毛医療に携わる前は、脱毛は細い毛より太い毛の方がしっかりとしていて難しそう…。と思っていました。

しかし脱毛のメカニズム(レーザー熱がメラニンに反応し効果を得る。)を学ぶと、メラニンの多いより太い毛の方が脱毛効果が得やすいということが理解できます。

そこで、こう仮説を立てました。うぶ毛にオーバージュール(レーザーの当てすぎ)で毛の周辺組織の働きが活発化し硬毛化につながるのではないかと考えています。そうふると対処法としてうぶ毛には低いジュールで照射すればよいのではないかと思っています。

しかしながらエステサロン等の低出力の場合でも硬毛化は起きてしまうのです。

そこでクリニックによって硬毛化についてどう言及しているのか2つのパターンを紹介します。

その①

硬毛化により回数が予想以上にかかるケースがあります。それにより金額の負担が多く生じる場合があります。

その②

硬毛化しやすい部位(フェイスライン、二の腕、背中)は当院では施術をおすすめしていません。

その①は親切なクリニックだなという印象を受けます。中には「回数や金額も多くなりますがコツコツ照射を重ねましょう」というクリニックもありました。

その②は「あくまで自己判断でおすすめはしないけれど要望があれば行います」といった合理的な印象です。

いずれにしろ、その①とその②では表現は違えど主旨は一緒かと思います。原因が不明である硬毛化はクリニック側も表現が分かれるところなので。。。

(ちなみにニードル脱毛では硬毛化はありません)

まとめ

今回はレーザー脱毛における同意書について書きました。

私が思う同意書とは、もちろん法的な意味もありますが、説明と同意(インフォームドコンセント)が重要なんですよね。

そして脱毛という医療を患者さんにもよく知っていだたくことです。

同意書は決して流れ作業でも玉虫色の書面でもありません。そしてわからないことは聞いた方がよいのです。

安くない施術なので、納得して受けることが重要だということを伝えたいです。

この記事がみなさんのお役に立てればうれしいです。