今回は急成長している家庭用脱毛器について解説します。
家庭用脱毛器に限ったことではないのですが、高額商品を販売する業界ではいろいろなデマが横行しています。
「定価〇〇円が実質△△円!」
「あくまで個人の感想です」
中にはユーモア満載の表現をしていて、美容業界の人が見たらフフッとなってしまうものもあります。
それを素人の人が真に受けて過度な期待を持たせたり誤認識を誘導するような商品は注意が必要です。
他の購入者の方のクチコミなどを見ながら、冷静な判断ができる人はよいのですが、消費者の盲点を突く巧みな表現は私もよく言うなぁと思いつつ、とても首をかしげてします。
そこで今回は、家庭用脱毛器をどういった視点で選べばよいか?そこに焦点をあてて解説していきます。
ぜひ一読いただければと思います。
家庭用脱毛器の種類
まず、家庭用脱毛器の種類は以下の2種類があります。
- フラッシュ式(IPL)
- レーザー式(ダイオードレーザー)
フラッシュ式はエステに代表される「抑毛・制毛」を目的とした方式です。
また、レーザー式はクリニックに代表される「脱毛」を目的とした方式です。
こう書くと
え?だったらレーザーの方がいいのでは?
と思うでしょう。
なぜならレーザー脱毛というとクリニックの脱毛ができると早合点してしまう人が多いので、家庭用脱毛器でもレーザーの方が優れていると考えがちです。
ですが、あくまで”家庭用”なため、レーザー方式であってもクリニックのレーザーと同じ効果があるわけではないのです。
極端にレーザーであることを強調しても、その商品は「脱毛できる」とは言わないはずです。
もし仮に家庭用レーザーで永久脱毛ができると謳っていたら、その商品、ぜひ私が調べてみたいものです笑
家庭用脱毛のメリット
とはいえ、エステでもなければクリニックでもない家庭用脱毛器にもメリットはあります。
脱毛を自宅で行えるメリットとしては
- クリニックやエステに通う時間がない
- いつでも自分の都合で脱毛できる
- 費用が安い
などです。
”毛が生えてこないのではなく一時的にツルツルにしたい”
”頻繁に肌メンテする時間があるから、費用を抑えて自宅でできれば十分”
そんな人には家庭用脱毛器はうってつけだと思います。
それに、家庭用脱毛器の販売会社も年々高まる脱毛需要に対応して、それぞれの個性を打ち出しています。
”何が自分にとって合う商品なのか”
そういった視点でここから下の部分を読んでください。
脱毛器を選ぶ際のポイント
家庭用脱毛器を選ぶ際、判断材料として以下があります。
- 価格
- 効き目
- 処理スピード
- ランニングコスト
- 痛さ
- 操作性
価格
価格の幅は1万程度から10万を超えるものまでさまざまです。
概ね5万から7万程度のものがクチコミでも評価が高く、売れ筋と言えます。
脱毛器も値段の差イコール性能の差になるのですが、安すぎる器種はそもそも制毛すらまともにできない粗悪品をつかまされることになりかねないリスクがあります。
せっかく買うのですから、しっかりと効果を実感できる価格帯を選んでおいた方が”安物買いの銭失い”にならずに済みます。
効き目
家庭用脱毛器を選ぶ際によく次のようなキャッチコピーを見かけた人もいると思います。
「他の脱毛器より高いパワー設定」
「サロン並みの最大15ジュール」
しかしながら勘違いしてはいけないのは、どんな高出力を謳おうと家庭用脱毛器は「抑毛」「制毛」であるということです。
なぜなら、
薬機法(旧薬事法)にあるように家庭用脱毛器は医療機器ではなく「美容機器」だからです。
後者に医療機関と同じ効果をもたらすことは不可能なのです。
医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保する他、下記を目的に製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律です。
- 保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止
- 指定薬物の規制
- 医薬品、医療機器及び再生医療の研究開発の促進
よくよく考えてみれば、医者などが施術として行う「脱毛」と、一般人が家庭用機器で行うものが同じ効果なはずないというのは、なんとなくわかると思います。
それでも、”クリニックと同じ方式だよ”
と言われると、なんだか期待してしまう気持ちが湧いてくるのは仕方のないことだと思います。
きっと心理的に同じものとみなす心の作用があって、販売側はその心理を巧みに突いてくるのでしょう。
こういった巧みな表現がなぜ生まれたかというと、消費者庁の存在があります。
消費者を誤認させるような表現は、脱毛器に限らず消費者庁の指導対象です。
お役所の目が特に光る分野は、商品を販売する側も表現方法に気を付けて販売するため、
消費者庁に指摘されないけれど魅力的に聞こえる表現
という話術を磨いています。
その結果、家庭用脱毛器の表現もユニークなものが目に付くようになった、という背景があります。
いろいろな役所があるけれど。。。
様々な意見がありますが、脱毛をはじめとするエステ業界の振興は、経産省の所管です。
家庭用の脱毛器の購入・使用は消費者庁の所管です。
それぞれの官庁が役割の違いから、様々な視点で国民を守るために法律やルールを作っています。
その中でも私はとくに重要だと思うのは、厚労省の法規制である医師法・薬機法であると思っています。
なぜなら、家庭用とはいえ脱毛器は人の肌に直接作用する機器だからです。
人が対象である以上、健康や経済に焦点をあてたルールより人体に焦点をあてたルールこそ、最も重視されるべき。。
私はその信念があるからこそ、誤解を招くような表現にはイラッとするし、誤解を解いていきたいという原動力につながっています。
そのためには、批判も承知で小難しいことも平気で書いたりもしてしまうのですけれど、ここからは小難しい話になります笑
ジュールを正しく理解しよう
はい出ました物理です笑
ジュールとは?といった基本的なお話は既に別記事で書いちゃいました。
うわっ物理…
と思った方はこちらの記事はスルーしても大丈夫です。
どうしても深く脱毛の原理を知りたい!
と思った方だけ、こちらの記事をご覧になってから続きを読み進めてください。
脱毛におけるジュールというのは、単位面積あたり(平方cm)のジュール同士を比較するのが正しいのであって、器種によって照射面積が大きいものから小さいものまでありますから、むやみに高ジュールだけで商品を選ぶべきではないのです。
高ジュールだから脱毛効果が高そう
そう思いたくなる心理をうまく突いた表現であると知ったあなたは「じゃあヘッドの大きさを調べてみよう」とか、今まで以上に深く脱毛器を選ぶ目を養うことができることになります。
処理スピード
処理スピードは、ヘッド(照射面積)の大きさによって異なります。
当然、ヘッドが大きい方が照射面積が広いので、早く終わります。
じゃあヘッドが大きいものが良い商品なのか?というと、そうではありませんよね?
先ほどのジュールの部分を思い出してください。
ジュールとヘッドのサイズのバランスが重要なので、ヘッドだけで商品を選んではいけないのです。
たとえ時間がかかってもより高い効果を求めるのであれば小ヘッドのものを
短時間でそれなりの効果で十分なのであれば大ヘッドのものを
ヘッドサイズに関してはそうした観点から選ぶとよいでしょう。
ランニングコスト
冒頭では方式の違いから家庭用脱毛器を2種類に分けて表現しましたが、ランニングコストの観点では形状から次の2種類に分けることができます。
- カートリッジ型
- 一体型
本体一体型はカートリッジに取り外しはできないので使い捨てなので、その分本体価格はカートリッジのものと比べ安いものが多いです。
家庭用脱毛器を長年愛用するのか、それともお試し程度なのかで選べばよいと思います。
痛み
痛みに関してはメーカーが独自の冷却機能を搭載しています。
各種脱毛器の取扱説明書にも、脱毛箇所を冷やすこと(クーリング)を推奨しているものが多いです。
脱毛器は熱で毛根などに作用するため、脱毛の痛みは熱に起因するものです。
熱を加えてすぐに冷やせばそれだけ回復も早いうえ、肌へのダメージも少なくなる、というわけです。
ただ、痛みは個人の感覚になってしまうので、「これは絶対痛くない」というものは存在しません。
というか、痛くない脱毛とは、メカニズムを考えると、その効果のほどを疑ってしまいます。
ですので、上手に冷やしてくれそうだなと思うものを選べばよいと思います。
店頭で試せるのであればどんどん試して、自分にあった、これなら我慢できそうだなと思うものを選べばよいでしょう。
操作性
液晶画面のものからわずか2つのボタンで開始できるものまでさまざまです。
ですが、操作性は正直、効果と関係ないわけで、なんでもよいのです笑
フラッシュとレーザーの違い
ほとんどの脱毛器がフラッシュ式(IPL)を採用していますが、中にはレーザー(ダイオード)を用いたものもあります。
これは日本の厚労省にあたるアメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)の許可を得て販売されています。
しかし、アメリカ当局の承認は得ていても、日本の厚労省は薬事承認していません。
「アメリカFDA承認の脱毛器!」と聞くと説得力ありそうですが、あくまでも家庭用に出力は抑えられているので、たとえレーザーであっても毛乳頭を破壊するものは販売されていません。
ここまで読んでくれたあなたならもうわかると思いますが、クチコミや体験談コラムなどで「レーザーだから脱毛効果もバッチリ!」というのは疑ってかかるべきで、購入材料にはならないです。
脱毛器ごとの特色
- ブルートゥース連動型オーディオ機能搭載
- 4か国語(日本語・英語・韓国語・中国語)の音声案内システム搭載
- IPL+超音波で毛に振動を与えて毛を弱らせる。
などが多いです。
これも先ほどの操作性と同じで、効果というより付加価値的な意味合いのものが多いので、好みで選んで問題ないでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。
まとめると、家庭用脱毛器は”脱毛”器ではなくあくまで”抑毛”器、”制毛”器です。
一時的に効果を実感し、しばらくは毛が生えないため脱毛と同じような状態になりますが、しばらくすると毛根・周辺組織は回復し、また前と同じように毛が生えてきます。
抑毛・制毛を目的とするなら、どこを着目して脱毛器を選べばよいか?
その観点から解説してみました。
もしほかに知りたいことがあれば、ぜひ質問をお寄せください。
調査の上、丁寧な解説をしたいと思います。
広告などで聞こえの良いコピーに踊らされず、納得のいく商品を選んでくださいね^^
家庭用脱毛器を買って永久脱毛できると思っていましたが永久ではないのですか?
家庭用脱毛器を購入検討しています!
とても参考になりました。
ジュールとヘッドのバランスのお話や、フラッシュとレーザーの違いはこのサイトを見ないと分かりませんでした。
そもそも、抑毛や制毛の機能しかない、という点もこのサイトで分かりました。
家庭用レーザー脱毛器とクリニックどっちがよいですか?